稲作を例に考えてみると 2
よく「石油が入らなくなったら、水田があっても畑があっても、現在のような農法では同じであって、日本人は飢え死にするしかない」と計算上いう人たちもいます。
しかし、それは大地を直かに体験したことのない人たちの、しかも工場農法的な見方しか持たない思考からの一面的な判断にすぎません。
現在の農法を使おうと思うからであって、そういう逃げ腰の捨てぜりふ的なことばによって、限られた農地の消滅・荒廃を導くべきではないのです。
賢明な生物生産的食糧としては、太陽の光エネルギーを緑の植物によって化学エネルギーに変えた米・麦・いも類などの一次生産物を使うのがもっとも有効です。
米、または、麦・いもなどの雑穀よりも、それを家畜に食べさせて二次生産した豚肉・牛肉や乳製品、にわとりの卵等が栄養化が高いというかも知れません。
しかし、動物の消化器を一度通すと、エネルギーが10分の1に減ります。
釧路沖・三陸沖でとれているイワシより、イワシで養殖したハマチの刺身の方が美味しいといって、もし養殖ハマチの刺身ばかり食べるとすれば、実は太陽光線から得られたエネルギーは100分の1に減ってゆくわけです。
このように見てくると、非常事態においてもっとも確実な食糧資源は、一次生産品としての農作物であるということができます。
しかも日本の気象条件からみると、和辻哲郎の『風土』にも出てくるように、きわめて効率がよく、連作にも耐える稲作が基本です。